介護

私の父は99歳、母は90歳まで長生きしました。
二人とも比較的最後まで元気でいてくれたほうなのですが、やはり亡くなる少し前から痴呆症が始まり家族で介護しました。
痴呆症の老人を介護する上で周囲の人によく言われたのは「相手を否定しないこと」でした。
同じことを何度繰り返して聞かれても辛抱強く答えること。
間違っても「さっきから何回も言っているだろう!」などと声を荒げてはいけないということでした。
言われるまでもそれは分かっているのですが、これを毎日続ける事は想像以上に大変なことでした。
それこそ一日に何十回も「風呂は入ったか?」「クロ(飼い犬)にご飯やったか?」と聞くのです。
そして環境を変える事は良くないとも言われていたのですが、事情によりどうしても転居することになりました。
この時は症状が悪化し、手が着けられない状態でした。
それまで家族の顔はかろうじて見分けていたのに一時的に息子である私のことも妻である私の母のことも他人だと思っていました。
おそらく家が変わったのでそこに住む人間も他人だと思ってしまったのでしょう。
家族に要介護の人間がいる時は介護人の方が体力的にも精神的にも参ってしまわないように気をつけなければなりません。
介護人が倒れたら家族総倒れです。
一人に負担が集中しないよう家族全員で協力し合うことが大切です。
介護はそれは大変だと言う事は誰でも知っている事です。
自分がまさかそうなるはずはないとみんな思っているのではないでしょうか。
その気持ちは必要ですが、もしかしたら連れがアルツハイマーになる可能性もあるのです。
それでも自宅で見ている人がいます。
夫婦とはそう言うものでしょう。
支え合って生きてきたので連れの一人がそう言う病気にかかってしまってももちろん笑顔で頑張っているのです。
それは老老介護で大変です。
時々デイケアーにも行きます。
その時にはホッとするかも分かりません。
どうして自分の事も分からなくなってしまったのだろうかと思いますが、それは子供の事も同じで認識出来なくなるのです。
そう言う病気ですから仕方ないのです。
誰もそう言う病気になりたくてなる事はないので家族が元気なうちは介護が必要です。
それが課せられた家族の十字架のような物なのです。
それを見捨てる事は家族を捨てる事なのです。
それをしっかり理解する必要があります。
施設に勤めていたら最初は頻繁に来ている家族も、だんだん足が遠のいくのが分かります。
それは誰かが見ているからという安心感があるからです。
生活指導員が、連絡を取ってやっと出て来るという有様です。

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